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孫正義ーJack Ma トークセッションメモ

東京フォーラム2019第一日目の孫正義・马云(Jack Ma)のトークセッションを安田講堂にて聴いてきました。

詳しい中身については、Noteに記事をアップロードされた方がいますので、今回はこの記事を見て思い出しながら、どう思ったかを書いていきたいと思います。

https://note.com/inochu/n/n62c9245fff07

上記noteを参考に、トークセッションで話されたことを意訳などを含めてこのような体裁で、

その次に私の感想などをこの体裁で記述していきます。

トークセッションの内容については、私の解釈を通した時点でその場で話されたものとは異なるものになっている可能性があります。その点に留意してお読みください。


1) 『伝説の5分間』について

スタートアップ経営者らと孫氏が話をするなか、多くの経営者はビジネスプランや収益モデルを説明する中、Jack Ma は唯一、キラキラした目でもって”哲学”を語る人物であったと。そこで両者が意気投合して、未来を語り合うパートナーとなったというお話がありました。

インターネットであったり、サービス、メディアには『こういう未来を実現したい』という哲学がそもそも有るものですが、プロジェクトが進んでいったりグループが大きくなってマネジメントが煩雑になってしまうと、その根底が軽んじられてしまうことがあります。そんななかでも自身を突き動かすような強いモチベーションは大事にしていきたいです。


2) 両者のサシ飲みでの会話

Jack Ma 氏にとってCEO;リーダーとは、将来に向かって良い方向性に向かってグループを導くものであって、そのためには従業員を育て、環境を整えることが大切だとのことです。その意味で、CEOとは *Chief Education Officer* なのです。また、アリババの方針として、第一に顧客、第二に従業者、第三にストックホルダーという順序が入っています。一見、ストックホルダーを軽視しているようですが、哲学・ビジョンがあってのことでその哲学に沿えばこの順序が自然にあることから、哲学に基づいた情熱のある Ma 氏の精神が生きたものになっています。

アリババの7つのポリシーを以前Webで調べ、その第一にこの順序が入っていたことに驚いたことを思い出しました。それもMa氏の哲学が反映されたものであるという指摘はハッとしました。


3) ビジネスとお金について

孫> お金を追いかける行為は、かえってお金を逃がすことになる。一方で夢を追いかける行為は、かえってお金を引きつける。 お金を持つというのは責任を預けられるということで、『君なら、このお金を国や銀行に預けるよりも上手く使ってくれるだろうという信頼』が現れたものである。だから責任をもって、リターンになるようなことをする、と。

孫氏は財団をつくっていることは知っていました。特に、小学生ながらいくつものプログラミング言語を習得してプロジェクトを走らせているような方々をサポートする仕組みを整備しているという情報はたまに入ってきていました。それはまさに投資家らの『孫さんならこのお金を上手く使って社会をより良くしてくれるだろう』という信頼からだと考えられると、腑に落ちたところです。


4) AI について、教育について

孫> AI革命が起きている中、十分な資金を持ち投資できるのはラッキーだ。Ma 氏は人(の教育)に興味が有る一方で、私(孫氏)はテクノロジーそのものに興味がある。自分がすべてなんとかするのではなくて、大切な専門性の有る起業家をみつけ、有意な革命をサポートすることが重要だ、と。

Ma> アリババは10年前からAI(Alibaba Intelligence ? )をやっている。これからはITからDT(Data Tech.)への変化が起こる。好む好まないにかかわらず、その時代は必ずやってくる。心配かもしれないが、受け入れる準備をしよう。私はその準備をすることに興味がある。そのためには教育を変える必要がある。

孫> (これからの教育で求められるのは)ディスカッション、コミュニケーションである、と。つまり協業して一緒にものをつくることが重要になってくる。AIで仕事が奪われるとは言うが、過去をふりかえれば、技術が進むにつれ、農業→工業→情報産業と仕事は常に変わってきた。そのときそのときで新しい仕事が生まれてきた。現時点ではどのような仕事になるかはわからないが、未来は変わる。そこで心配に成る必要はない、と。

Ma> 大学を出て思ったのは、社会(Society) が一番の学校である、と。好奇心を持って周りを見渡せば学びはたくさんあり、それがとても大切なんだと。とくに最高の教師は失敗である、と。
AIが悪いのではなく、受け入れる準備が出来ていない人が問題になる。

『AIで仕事が奪われる』に対して、もっとエキサイティングな新しい仕事が生まれる、という論はとても積極的で楽観的(ネガティブなイメージはない)な意見のように感じました。AIはこの先データテックになる、というのはまぁそうなのかというところですが、何か面白いところは無いでしょうか。

今後の教育ではディスカッション・コミュニケーションが重要になるというのももっともな指摘だと思います。一人ひとりの能力があるとはいえ、グループであるからこそ生まれる強みが大切だと感じますので、その教育の重要性は感じます。私はあまり議論をしないまま一人で学ぶことに慣れてしまったのですが、議論をする重要性をひしひしと感じる今日この頃です。


5) 今日の両者になるまで、影響を受けたもの

孫> (モデレータは大きなことを成し遂げたと言ったが、)現時点では何も達成していない。今もチャレンジをして戦っている。私の夢はもっと大きなものである、と。(話は質問に戻って、)インスピレーションを受けたのは高校生のときに読んだ『竜馬がゆく司馬遼太郎)』で、信念をもって行動し革命を起こした人をみて、それに比して自分は何をやっているか、と感じ、知らない世界を知るためにアメリカに行った、と。

Ma> 私も同じくまだ何も達成していないという気持ち。各世代ごとにするべきことがある(下に引用)。影響を受けたというのは特に誰か一人ということではなく、誰からも学ぶものがある。ロールモデルは一人でなく、多くの人から成り立っている。

Before you turn 20 years old, be a good student.

Before you turn 30 years old, follow somebody.

Between 30 and 40 years old, you need to think clearly whether you want to work for yourself, if you really want to be an entrepreneur.

When you’re between 40 and 50 years old, you must do all the things that you are good at.

But when you are 50 to 60 years old, work for the young people.

When you are over 60 years old, spend time on yourself.

https://vulcanpost.com/255811/jack-ma-life-20-60-years-old/

実際、『自分は何をやっているか』という自問は最近することが多く、悩みのたねでもありました。今回のトークセッションで、哲学をもって行動すること、議論・協業することについて意識を変えるきっかけになりました。


6) 若い世代へのアドバイス

孫> 信念をもち、大きな夢をもつこと。夢に情熱をもつこと。強い情熱を持てばそれだけ達成することが出来る。

Ma> 楽観的に、不平不満を口にするな。未来は自分の手で変えられるんだと思うとよい。

今回のトークセッションではとくに哲学をもつことの重要性に重きが置かれているように感じました。最近はやりの一般ビジネス書にもあるように、『これを成し遂げたい』という信念のあるひと・グループに人もお金も集まる(集まりやすくなった)時代になっているのは感じているところです。


7) 百年単位で続く組織を

孫> 一つのサービスがあれば数十年は続くだろう。しかし、哲学があってよい組織が形成されてカルチャーが残れば、複数のサービスが並行して走って、百年単位で続く組織に成ることができるだろう。具体的なビジョンを事細かにつくることは出来ないけれど、AI革命などの大まかな方向性はある程度予測できる。

Ma> 既存のシステムでも、教会や大学は数百年続いている。それはよい哲学とよいリーダーがいることの現れであって、それらが存在するグループは長く続くだろう。

長く続く組織には、哲学(ポリシー)・組織(人材とか)・カルチャー(本とか)の3つがあるということを聞きました。たしかに大学が今も存続するのは、研究機関として、また後を次ぐ研究者(でなくても人材として)の養成として、リーダーをおき、図書館などの保存書庫をもち、カルチャーを引き継いでいくためなのでしょう。


おおよそ、以上になります。

特別に目新しいことが聞けた、ということはあまりなかったのですが、この両者の話を聞くというのはとても楽しいものでした。

この講演を受けて、自身の哲学とは何であるか、内省に努めてまいります。

進路を決めねばなぁ…